楽園

わたしこそが、犯人をあの犯罪へと突き動かた衝動に魅せられて、彼らの後をついていった模倣犯でした。

前畑滋子
2014.07.26(土)宮部みゆき
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 宮部みゆきの現代ミステリの最高峰は「理由」か「模倣犯」か。特に模倣犯は、文庫本5冊にわたる長編小説ながら、そのどこにも無駄な部分がないかの如く、むさぼり読んだ記憶があります。本小説は、その中で犯人を追いつめたルポライター前畑滋子のその後の物語ですが、まさかの方向性で、この作者の作風の広さに本当に驚かされますね。

 あの「模倣犯」事件から9年。犯人を追いつめ、一躍時の人となった前畑滋子は、いまだに事件のダメージをいまだかかえ、そのことを本にすることすらできずにいた。しかしながら、時間が経つにつれ、根っからの物書きとして性根が、ただ夫の帰りを待つ日々では満足できず、徐々にライターという仕事に復帰したいという気持ちが沸き上がり、今はフリーペーパー専門のプロダクションにて記事を書く仕事についていた。
 そんな滋子のもとに、「交通事故でなくなった息子、等が超能力を持っていたかどうかを知りたい」という奇妙な依頼が舞い込む。依頼者はその子の母親の萩谷敏子、その敏子の話によると、等は絵をよく書いており、うまいと評判だったが、その中にたまに幼い子が書いたような絵があるという。それについて聞くとその絵は「頭に浮かんだものを書いている」という。そういう絵が何枚かあるのだが、その中の一枚にあったのは、等が亡くなった後に起きた殺人事件の家の絵と思われるものだった。
 母親の気持ちを思いやり、依頼を受けることにした滋子は、果たしてその真相にたどり着けるのか?そしてその先にあったのはなんと9年前、あの殺戮が繰り広げられた「山荘」の絵。そこには関係者しか知りえない証拠が描かれており・・・・果たして等は本当に超能力があったのか、ただどこかでしったことを書いただけなのか?滋子がたどり着いた真実とは?

 これほどの本格ミステリーにまさかの超能力。これまでも「クロスファイヤー」とかで超能力を取り入れてはいましたけど、あの模倣犯とのつながりもあって、ものすごく興奮しましたね。あまり話題にならなかったような気がしますが、なんでだろうか?って、ボクの前畑滋子のその後が描かれた物語があるとは思ってなくて、たまたま入った小さい本屋で買いたかった本がことごとくみつからず、いろいろ探して買ったくらいですから。

 実はこれをよむ直前に、「製造迷夢」を読んでましてね、、、まさかの超能力かぶりとは。まあ、こういうシンクロはなぜかよくあるんですよね。

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叫びと祈り (梓崎優著)

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