悪いうさぎ
葉村晶シリーズ - 3

自分でも信じてないこと、他人に押しつけんのはやめときなさい

葉村晶
2015.05.10(日)若竹七海
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やっぱり、ボクは若竹七海の描くこの葉村晶というキャラクターがどうしょうもなく好きだと、再認識させてくれた一冊。人間はこんなにも悪いことが出来るものだろうか、結城充孝の「プラ・バロック」や、中村文則の「掏摸」にも感じた、どうしょうもない悪意をこの作品にも感じ、こころから恐ろしいと感じました。

大手の探偵事務所からの要請で「家出中の17歳の女子高生平ミチルを自宅へ連れ戻す」ために派遣された、フリーランスの女探偵葉村晶。相手が女だからと説得に当たる葉村はなんとか説得し相手がドアを開けようとしたその時、何者かに襲われる。なんとそれは探偵事務所の男の世良松夫だった。「あまっちょろいんだよ」と、女子高生を力強くで連れ戻そうとする世良に対し、急所を蹴り上げることでなんとか窮地を脱した葉村だったが、その代償は足の骨折と女子高生と住んでいた男からナイフを脇腹にさされることだった。
一命をとりとめた葉村に舞い込んできたのはまたしても17歳の女子高生を探す仕事だった。そしてその女子高生は平ミチルの親友の橋本美和であり、その理由を平ミチルが知っているかもしれないということで、話を聞き出すことそのものが依頼だったのだが、その依頼こそが葉村晶の最悪の9日間の始まりであった。
橋本美和はどこにいったのか?事件か事故か、平ミチルはいったい何をしっているというのか?家族との関係に悩む平ミチルを中心に、家族、友人とあらゆる人のつながりからたどり着いた真相とは。真相に近づいた葉村だったが、その葉村にも魔の手が迫り。。。

失踪した女子高生を探すことが本題ではあるのですが、それ以外にも前作「依頼人は死んだ」にも出てきた友人で、婚約者に自殺された相場みのりの結婚詐欺の問題や、探偵の世良とのトラブルもあり、息つく暇もないくらいにドキドキがとまりませんでした。どんな時でも冷静で皮肉を放つようなキャラの葉村晶ですが、今作ではかなり弱音をはくような場面もあり、より一層魅力的に描かれています。

そしてタイトルの「悪いうさぎ」というのが読み終わってからずしっときます。何度も言ってますがやっぱりタイトルって重要ですね。特にあとからあぁってなるものはその作品の価値を何倍にもあげられるんじゃないでしょうかね。

さて、最初に家出した平ミチルが葉村晶の部屋に転がり込むことになり、家族との関係を告白するんですが、その時の葉村晶のやさしさがこのセリフに現れていますよね。普段のクールな感じとのギャップにやられますます好きになりました。最新作「さよならの手口」も早くよもうっと。

鹿の王 (上橋菜穂子著)

病には情はない。善悪も関係ない。だからこそ恐ろしいのだ。

ホッサル
デビルズ・ピーク (デオン・マイヤー著)

パカミレが二度と抱き付いてこないなんて、絶対に受け入れられない。他の何よりもそのことはーあの触れ合い、無制限の受容、無条件の愛。自分のせいだ。

トベラ・ムパイフェリ

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