プラ・バロック
クロハシリーズ - 1

「携帯で本部通信司令部へ連絡っ」声を張って女性警官に指示を出し、クロハはアスファルトへ踏み出した。水飛沫。

2012.12.30(日)結城充孝
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 もし、おすすめのミステリは?と聞かれたら(まあ、ほとんどないですけど)、迷うことなく本書を勧めるとこころに誓っています。それほどまでにおもしろくもあり、おそろしくもあり、美しくもあり、さまざまな感情を揺さぶる小説でありました。

 臨港署機動捜査隊所属、女性刑事クロハは、殺人事件の捜査を横目に、とあるレンタルコンテナの開錠に立ち会うことに。しかし、そこで目にしたのは、男女14人の凍死体だった。集団自殺と思われていた事件だったがが、身元確認をすすめるうちに、さらに別の冷凍コンテナでも死体が発見されー。

 掲示板などでみず知らずの他人が集まって集団自殺というのは、現実世界でもありますが、こんな設定で、しかも大人数での集団自殺というのは、さすがに聞いたことはなく、いったいどういう理由があるのか、その果てにあるものは、おそらくいままでにはなかっただろう悪意。読んでいておそろしくなりました。決してホラーではないんですが、自分が想像していないようなものはやはり恐ろしさを感じます。そのあたりが、未来形と言われるゆえんなのかなと思います。

 また、女性刑事クロハがつかう、仮想空間(おそらくセカンドライフのような)上における、キリ、レゴとのやりとりや、そこでみせるクロハ(仮想空間ではアゲハ)の刑事としてではない表情が、クロハを非常に魅力的にしています。ちなみに、彼女はレイプがトラウマになどはなっていないので、そこらの画一的な女性刑事像とは一線を画しているように思います。

 そして、本書の特徴はその、短いセンテンスをつなぎ合わせてつくられたような文体にもあります。「水飛沫。」には、ちょっとやられました。

 後ははやく、電子書籍ででることを願っています。

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